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物価上昇2%超なのに賃金上昇1%程度という現実=武田淳
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日本の1~3月期GDP
2四半期ぶりのマイナス成長に物価上昇が個人消費の回復そぐ=武田淳
内閣府が5月18日に発表した2022年1~3月期の日本の実質GDP(国内総生産)成長率は、前期比年率マイナス1%と2四半期ぶりにマイナスに転じた。過去1年半を振り返ると、成長率は新型コロナウイルス感染拡大と収束に呼応してプラスとマイナスを繰り返し、景気は一進一退だった。結果、21年度通年の成長率は前年度比プラス2.1%にとどまり、20年度のマイナス4.5%の半分も取り戻せなかった。
今回の1~3月期のマイナス成長は、オミクロン株の流行で個人消費が停滞する中、景気下支えを期待された公共投資が落ち込んだ影響が大きい。ただ、個人消費は3月以降、「まん延防止等重点措置」の全面解除により持ち直しつつある。公共投資も昨年度補正予算で追加された2兆円もの事業の執行が本格化しており、ともに4~6月期は増加に転じる可能性が高い。
一方で、ロシアのウクライナ侵攻に伴う対露制裁の影響が逆風となるだろう。エネルギー、穀物、金属鉱物の国際価格が高騰し、世界経済の回復にブレーキを掛けており、日本の輸出にも悪影響を与えよう。さらに、円安進行と相まって国内物価を押し上げ、個人消費の回復力をそぐ。
日銀目標後初の2%
5月20日に発表された4月の消費者物価指数(CPI、総合)は、3月の前年同月比プラス1.2%からプラス2.5%へ急伸した。この伸びは消費税率が8%へ引き上げられた14年以来であり、消費増税の影響を除けば1991年12月以来、実に約30年ぶりとなる。4月の伸びは、天候不順などにより値上がりしている生鮮食品を除いてもプラス2.1%と高く、日銀が13年1月に2%の「物価安定の目標」を設定してから初めての2%超である。
中でも上昇が目立つのは電気やガス、ガソリンなどのエネルギーであり、これらだけで物価全体を1.4%も…
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週刊エコノミスト
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