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財政懸念で米金利上昇は不可避 市岡繁男

 米国では来年末まで債務上限を一時停止する法案が成立した。だが本当の難局はこれからだ。米財務省は2月初旬以降、借金ができない間の支出をカバーするために、連邦準備制度理事会(FRB)の口座から0.5兆ドルの預金を取り崩した。これは形を変えた量的緩和(QE)として機能し、同期間におけるFRBの量的引き締め額(QT)=0.3兆ドルを上回る流動性を供給した(図1)。この数カ月間、株価が堅調に推移したのはこのためだ。

 だが、財務省は急減した預金を当初の水準に戻すため、0.5兆ドル相当の資金を調達せざるを得ない。これとは別に、議会予算局は(今年9月末に終了する)2023年会計年度の財政赤字を1.5兆ドルと見込む。今年5月末時点の赤字は0.9兆ドルなので、9月末までに0.6兆ドルの追加借り入れが必要となる。

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