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粗利益の大幅改善は20年待ち望んだ好循環の現れだ 藻谷俊介

 日本株が好調なこのごろ、機関投資家との対話で最も投資家の関心を引くのが、法人企業統計における粗利の強い改善である。あまり報道されない統計だが、株価の形成上重要な企業業績に関することなので伝えておきたい。

 スフィンクス・インベストメント・リサーチは、法人企業統計など企業業績のデータにも季節調整をかけて提供している。前年同期比伸び率のグラフは、前年対比の伸び率は分かるが、前々年以前との比較はできず、歴史的位置も、逆に直近1四半期の伸び具合も分からない。株価を前年同期比では誰も見ないのと同じで、業績も実数値の推移で把握すべきと考えるからで、ここに当社のデータの特徴がある。

 ただ、そのためには数値から季節性を除去する必要があり、手間がかかる。その点で、掲載したグラフは読者が普段目にすることはまずないものだと思う。

 図1が示すように、直近の2023年1~3月期、売り上げの伸びは前期比年率(季節調整値)4%台で、特別に強かったわけではない。だが、売上原価は継続的に勢いが落ちてきて、ほぼ頭打ちになった。図1の2線の差を取ったのが粗利益で、それを示したのが図2である。粗利益は、グラフが示すように額として史上最高値だが、前期比年率換算で2ケタの強さで伸びているのである。

ようやく価格転嫁の成果

 その結…

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週刊エコノミスト

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