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《東京市場》3月調整を経て日経平均4.2万円も 三井郁男

 34年ぶりに史上最高値を更新した日経平均株価は、上昇スピードが速いため、3月末までは日柄調整(過熱感の解消)が続きそうだ。年度末は、年金資金などによるアウトパフォームした日本株の組み入れを基準の比率まで引き下げる売りが出やすい。

 1980年代後半の日本の株価はまさしくバブルであり、多くの企業で本業の稼ぐ力が低迷し、財テクによりかさ上げされた、持続可能性がない利益に依存していた。現在、多くの企業は稼ぐ力が向上し、ため込んで膨れ上がった手元流動性を、将来の成長に向けた投資や賃上げなど人的投資の拡充だけでなく、株主還元としての増配や自社株買いに積極的に使い、資本効率の改善に経営の軸足を移してきた。経営方針の転換で持続的に1株当たり利益(EPS)が上昇する環境が整いつつある。

 2024年春闘の第1回回答は平均5.28%で、昨年を1.5%上回り、33年ぶりの高水準だった。想定以上の賃上げで実質賃金のプラス転換が夏場にも視野に入る。2%の物価目標を安定的に達成する環境が整い、日銀はマイナス金利解除と長短金利操作(YCC=イールドカーブ・コントロール)の廃止を決定、金融政策は正常化に向かう。

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