マーケット・金融グラフの声を聞く

金接近が示唆する熱い戦争の接近 市岡繁男

 商品相場が上昇している。なかでも金は1トロイオンス=2080ドル台の上値抵抗線を突破し、いわゆる「逆三尊形」になった(図1)。チャートを読む人なら、買いサインと考える形状だ。

 金は金利がつかないので、金利上昇局面では下落することが多い。だが今回の金急騰は、実質金利(物価連動債利回り)が上昇する中で起きている。このことは、世界の賢人たちは有事モードにシフトしたということだ。金は本質的に、戦争などの不安要因で買われるのである。

 事実、世界は大きな戦争に向かう機運が高まっている。例えばフィンランドはウクライナと防衛協定を締結したが、同国が参戦国と2国間協定を結ぶのは先の大戦以来のことだ。またマクロン仏大統領はウクライナに派兵する可能性を語り、ロシアは核の使用も辞さないと応酬する。イスラエルはシリアのイラン大使館を攻撃し、イランは反撃を誓うといった案配だ。これではいつ熱い戦争になっても不思議はない。

残り222文字(全文624文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事