国際・政治

中国経済の見通しは?――シンクタンク14社アンケート 編集部

2024年の中国経済はどう推移するのか (旧正月でにぎわう上海市街で2月11日、Bloomberg)
2024年の中国経済はどう推移するのか (旧正月でにぎわう上海市街で2月11日、Bloomberg)

 2024年の中国経済・金融・不動産市場の見通しについて、主要金融機関、民間シンクタンク14社にアンケートを実施した。

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GDPは政府目標に届かず

 注目される2024年の実質国内総生産(GDP)成長率の各社予想は4.3~5%となり、いずれも中国政府公表の23年実績5.2%を下回る結果となった(表1)。中国政府が24年の目標として掲げる5%前後の達成は厳しいとの見方が少なくない。

 最も高い5%を予想したのは、キヤノングローバル戦略研究所、大和総研、農林中金総合研究所の3社(5%前後のアイザワ証券を含めると4社)。

 大和総研は「物件を契約通りの納期で完成させる『保交楼』により、購入者のマインドがある程度改善し、不動産不況の底打ち・回復に期待。これが奏功すれば24年は5%成長も」とする。

 一方、最も低い4.3%を予想した三菱UFJリサーチ&コンサルティングは「中国経済は不動産不況が長引き、減速が続くだろう」とみる。4.4%を予想する日本総合研究所は「23年のようなゼロコロナ政策終了による消費の反発がないうえ、①財政赤字や地方特別債発行枠の思い切った拡大がなかったこと、②不動産市場対策の積極化に言及がなかったこと、③デフレ回避に向けた賃上げなどへの積極策が示されなかったことから、政府目標は未達の可能性大」としている。

 また、4.7%を予想するオックスフォード・エコノミクスは、「足元では景気刺激策に支えられ、企業部門主導で中国景気は安定に向かっている。ただ、不動産市況の停滞や家計の消費マインドの回復の遅れが重しとなり、24年の成長率は全人代(全国人民代表大会、国会に相当)で提示された当局の目標である『5%前後』をやや下回る4.7%に落ち着くと想定」とする。

CPIは予想割れる

 日本のような低インフレやデフレに陥るのかどうかも、大きな注目点だ。中国政府が4月11日に発表した3月のCPI(消費者物価指数)前年同月比は、0.1%増と2カ月連続でプラスとなった。24年の各社の予想はマイナス0.1~2%と、ばらける結果となった(表2)。政府目標の3%前後の達成は難しいとみている。

 最も高い2%を予想したキヤノングローバル戦略研究所。その次に高い1.5%を予想する岡三証券は「物価は食品や燃料などノンコア部分で前年比マイナスがなくなり、CPI総合はプラス圏の伸びが定着」とする。1%以上を予想したのは14社中5社だった。

 1%未満の0.6%を予想する伊藤忠総研は、「CPIは豚肉やエネルギー価格の下押しが弱まり、上昇基調に復するが、需要の弱さを反映して低い伸びにとどまる」としている。唯一マイナス予想したのは日本総合研究所のマイナス0.1%だった。

緩やかな元高

 4月1日時点で、1ドル=7.2308元で推移するドル・元レートはどうか。各社の24年12月時点の予想は、1ドル=6.8元から7.2元の比較的狭い範囲に収まった(表3)。

 1ドル=7.0元と、現状よりもややドル安・元高を予想する明治安田総合研究所は「米連邦準備制度理事会の利下げに伴い元高・ドル安に向かうとみるものの、国内でもローンプライムレート(貸出金利)引き下げなど追加金融緩和が実施される公算が大きいことを踏まえると、元高・ドル安の進行ペースは緩やかになると予想」。

 1ドル=6.8元を予測する三菱総合研究所は「米の利下げに伴い他のアジア通貨と同様に、対ドルで上昇に転じる見込み」としている。

 元の対ドル為替レート予想(24年12月時点)は、最も元安・ドル高の1ドル=7.2元が3社。7.0~7.2元未満が7社。6.8~7.0元未満が4社という結果となった。また、各社の今年6月の予想と比べると、わずかであるが24年末に向けて、ドル安・元高方向をみているようだ。

株価は年末に向け回復か

 4月1日時点で3077.379で推移する株価(上海総合指数)はどうか。

 24年12月の予想は、2700~3450のレンジとなった(表4)。24年6月の最高値予想が、岡三証券とアイザワ証券の3200、一部を…

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週刊エコノミスト

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