経済・企業 稼げる特許・商標・意匠

アマゾン、アップルへの提訴も 世界の知的財産訴訟は複雑化=小林誠

おなじみの「アマゾンエコー」も提訴された(Bloomberg)
おなじみの「アマゾンエコー」も提訴された(Bloomberg)

<注目事例7>

 日本の特許侵害訴訟は年間200件にも満たないが、グローバルな視点に立てば、各国で多くの訴訟が行われており、高額な損害賠償額が認定されることも多い。

 例えば、米アップルと韓国サムスン電子の間で続いていたスマートフォンに関する訴訟合戦がある。一連の訴訟は2018年6月に和解に至ったとの報道があったが、特許権だけではなく、商標権、意匠権の侵害なども含む複合的な知的財産侵害訴訟であった。世界各国で繰り広げられていたが、最終的には米国における二つの訴訟に収斂(しゅうれん)され、一方は連邦最高裁まで争われた。

 地裁の陪審評決では、アップル側の勝訴で約10.5億ドル(約1190億円)の損害賠償が認められた(最終的には連邦最高裁を経て再審理の結果、約5.4億ドル〈約610億円〉に減額)。さらに間接的な事業への影響として、地裁の評決後、アップルの株価は過去最高(当時)を更新したのに対して、サムスンの株価は7.5%急落 (韓国市場)している。知的財産侵害は、損害賠償額だけでは測れないインパクトがあるといえる。

残り1910文字(全文2369文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事