週刊エコノミスト Online グラフの声を聞く

製造業でアメリカ復活の幻想=市岡繁男

 米世論調査によるとトランプ大統領は常に約4割の支持率を維持してきた。その中核は海外への工場移転で職を失ったブルーカラー層。同大統領は就任演説で「この十数年間、自国の産業を犠牲に外国の産業を潤してきた。それは一切変わる」と述べ、公約通り、諸外国に強硬な姿勢を貫いている。それが彼らに支持されている理由だ。

 米ブルーカラー層の苦境は2001年12月、中国のWTO(世界貿易機関)加盟で始まった。それ以降、中国への工場移転が加速し、ネット対外直接投資額は約10倍に拡大。工場閉鎖による失職者は低賃金労働に移行せざるを得ない。対外直接投資額と雇用者報酬の分配率低下が連動しているのはこのためだ(図1)。

残り217文字(全文515文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事