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裁定買い残が示す今年前半の株高=市岡繁男

(出所)東証、ブルームバーグ
(出所)東証、ブルームバーグ

 いまや株式取引全体の85%がコンピューターの自動売買といわれ、それが2018年の広範な相場急落をもたらした。自動売買システムの多くはモメンタム(勢い)重視の設計になっており、株価下落ピッチが増幅しやすい。こうした状況は日本も同じだ。1987年のブラックマンデーも自動売買が株価暴落を誘発したが、計算能力の向上を考えると、その破壊力は31年前の比ではない。

 とはいえコンピューターが売り指示を出しても、それを動かすファンド筋の持ち株が少なければ影響は限られる。日本株の場合、その度合いは東証の「裁定買い残(先物との価格差で利ざやを稼ぐ裁定取引の持ち高)」に表れており、過去は裁定買い残が5000億円台まで縮小すると株価は下げ止まった(図1)。この水準でファンド筋の保有株が乏しくなり、売りのエネルギーを出し尽くす。

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