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自由主義に背を向ける韓国経済に暗雲

 日本と韓国の対立が先鋭化している。昨秋以降、韓国最高裁による日本企業への賠償命令や慰安婦財団の解散、レーダー照射問題などが重なり、国民感情が急速に冷え込んでいる。日韓の摩擦でいつもは尻込みする日本が、態度を硬化させていることは、貿易交渉でにらみ合う米中冷戦と深い関係がある。

 日本はこれまで、理と情の両面で韓国を援助してきた。合理的な面としては「反共産主義の防波堤として」である。ロシア・中国・北朝鮮に対して陸続きとなっている韓国は、東西対立の最前線であった。米国は自由主義の優越性を誇示するために韓国を発展させ、共産主義がアジアに広がるのを防ごうとした。竹島を奪われたにもかかわらず日韓条約で日本が韓国に巨額の援助を与えたことは、米国の意向もあったことだろう。

 また、日米貿易摩擦が激化した時代には、「貿易黒字の迂回(うかい)手段」として韓国や中国への産業移転が行われた。日本企業は完成品で譲歩し、素材や部品などの裏方に徹することで目立つことを避けたのである。これは中国や韓国にとってもうれしい話だった。

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