教養・歴史 書評

『箱根0区を駆ける者たち』 評者・黒木亮

著者 佐藤俊(スポーツライター) 幻冬舎 1300円

過当競争尻目に独自指導 もう一つの箱根駅伝

 1987年に日本テレビが全国中継を開始したのを契機に、箱根駅伝は国民的イベントとなり、各大学は、受験生獲得のための宣伝ツールとして、駅伝チームの強化に億円単位の予算を注ぐようになった。競技力は飛躍的に向上し、評者が出場(79年3区、80年8区)した頃の区間賞のタイムで走っても、今ではほぼ区間最下位である。

 勝つために、2カ月近くある夏休みを合宿に費やす大学もざらで、本来、学業ときちんと両立してこそ学生スポーツの価値があると思うのだが、事態がここまで過熱しては、もはや誰も理想に耳を傾けないのかと諦めの心境になる。

残り881文字(全文1187文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月28日号

バイオ製薬最前線 肥満 がん 認知症第1部 創薬テーマ編肥満14 画期的な減量効果の治療 ノボ、リリー2強が世界席巻■中桐成美/中西拓司17 内臓脂肪減少薬 大正製薬が「アライ」発売 吸収抑えて25%を排せつ■中西拓司19 米国の現実 成人の「4割超」の深刻 国防にも影響するレベル■岩田太郎20 体 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事