マーケット・金融 残る・消える地銀

地銀襲う不良債権 与信費用が3倍に急増=山本大輔

「うち以外にも、地銀だけで十数行やられたはずです」

 ある銀行幹部は、ため息交じりにこう漏らした。全国に支店網を広げるなど急拡大を続けていた中堅の保険代理店チェーンが、国税当局に不正会計を指摘されたのは今年初めとされる。取引先の各銀行は状況は極めて厳しいと判断、同社の債務者区分を正常先から実質破綻先などに一気に引き下げ、2019年1~3月期に与信費用の計上を迫られた。

 取引先には横浜銀行、千葉銀行、群馬銀行、北陸銀行、北海道銀行、西日本シティ銀行、りそな銀行、新生銀行など多くの取引行が名を連ねた。各行の損失は10億円前後で、全体の業績に決定的な影響を与えたとまでは言い難いが、ある地銀首脳は「結果的には急拡大に際してのチェックが十分でなかった」と話す。

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