週刊エコノミスト Online 消費増税直前三つのナゾ

ポイント還元の効果は? キャッシュレスの推進は消費喚起の救世主にあらず=長内智

コンビニなど大手流通では多様なキャッシュレス決済ができるはずだが……
コンビニなど大手流通では多様なキャッシュレス決済ができるはずだが……

 政府は、10月の消費税率引き上げに伴う景気の落ち込みを軽減するための経済対策として、キャッシュレス決済の「ポイント還元制度」を導入する。この制度は、中小の小売店や飲食店において、クレジットカードや電子マネー、QRコードなどを利用してキャッシュレス決済を行った場合、支払額の5%もしくは2%をポイントで還元、もしくは直接的に割り引くというものだ。消費者に付与されたポイント分の金額を、政府が補助する。実施期間は、2019年10月~20年6月の9カ月間に限定されている。

 ポイント還元制度が打ち出された背景には、消費税率引き上げ後の消費を喚起させ、かつ政府が推し進めているキャッシュレス化を一層加速させようという政治的思惑が透けて見える。海外において、消費税や同種の付加価値税(VAT)の税率を引き上げる際に、キャッシュレス決済のポイント還元制度のような経済対策が導入された事例は見当たらず、世界でも例のない試みだと言えよう。

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