週刊エコノミスト Online 闘論席

池谷裕二の闘論席

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

 8月の英科学誌『ネイチャー』で、中国の清華大学の施路平博士らが、新しい仕組みをもった人工知能(AI)を発表した。専門的になるため詳細は避けるが、従来型AIと脳の演算様式を融合したデザインをとり、既存のAIに比べ、計算効率にして最高100倍、エネルギー効率は1万倍にも達する。博士らは一例として、自転車に自動運転機能を実装してみせた。二輪走行のバランス制御は難しいが、低速でもふらつくことなくスムーズに自走する動画の様子は不思議な光景だ。音声認識や追尾機能も備え、AIの汎用(はんよう)性と自律性が高まったことを実感させる。

 中国の科学は躍進している。現在AIの最先端を走るのは、アメリカでもイギリスでもなく、中国である。この事実を察知したアメリカはファーウェイ排除などの手を繰り出した。時すでに遅し。日本の科学技術振興機構が2015年から17年に発表された高インパクトな科学論文を研究分野別に分析した結果、151の理工系領域のうち71領域で中国が首位だった。IT(情報技術)やAIなどの工学・計算科学系は、ほぼ中国の独占状…

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