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金融緩和で表れたバブルの予兆=渡辺浩志

 いま、世界経済は好転しつつあり、金融市場では「グレート・ローテーション」が起こると期待されている。すなわち、投資マネーが安全資産である債券からリスク資産である株式へとシフトし、長期金利と株価が同時に上昇することが見込まれている。

 とはいえ、いまのところ米国のインフレ率が大きく高まる気配はないし、11月には大統領選挙も控えていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は少なくとも年内は据え置かれそうだ。そのため、米国の長期金利(10年国債利回り)は、上昇するとしても、当面は3%を上回ることはないだろう。米国の名目潜在成長率は4%台にあり、景気に見合わぬ低金利がしばらく続きそうだ。

 この名目潜在成長率とは、平時の経済成長率のことであり、米国での実物資産投資で得られる平均的なリターンと考えることができる。一方、長期金利は投資資金の調達コストだ。米中摩擦の再燃や中東における戦争勃発など、強烈な外的ショックでもなければ、米国内で投資のリターンがコストを上回っている限り、米国景気が腰折れしたり、株価が本格調整に入ったりする可能性は低い。

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