教養・歴史 書評

派手だが中身はなし…… そんな男が一気に飛躍!=美村里江

×月×日

 きっちりしているようで安っぽい。題名とカバーデザインがマッチしていた『御社のチャラ男』(絲山秋子著、講談社、1800円)。舞台はどこにでもありそうな小規模食品会社「ジョルジュ」の社員たちの物語。オムニバス形式で、徐々に会社の内情と社員の素性が明らかになっていく。

 Aさんから見たBさんと、Bさん本人の内心は違うし、CさんからはAさんもBさんも同じ人種に見えている。複数の人間の外と中の違いを少しずつ理解していくことで、社員たちに好感を抱いていった。

 しかし「チャラ男」こと三芳道造部長の人物像評は、誰からも一定である。ドラマなどでよくいう「キャラ立ち」をしていて、外見を含むいいところもいくつかあるが、基本は安っぽく派手で中身がない。

残り969文字(全文1291文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月28日号

バイオ製薬最前線 肥満 がん 認知症第1部 創薬テーマ編肥満14 画期的な減量効果の治療 ノボ、リリー2強が世界席巻■中桐成美/中西拓司17 内臓脂肪減少薬 大正製薬が「アライ」発売 吸収抑えて25%を排せつ■中西拓司19 米国の現実 成人の「4割超」の深刻 国防にも影響するレベル■岩田太郎20 体 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事