マーケット・金融 コロナ恐慌

為替 ドル・円 6年目のドル高局面は終焉へ 1ドル=100円割れも否めず=唐鎌大輔

緊急に貴重なカードを続けて切ったパウエルFRB議長(Bloomberg)
緊急に貴重なカードを続けて切ったパウエルFRB議長(Bloomberg)

 2020年の経済・金融情勢を巡るシナリオは出はなから新型コロナウイルスの感染拡大によって大幅な狂いが生じている。とりわけ金融市場においては、あらゆる資産価格が苛烈な調整に直面しており、各国政策当局の動きも慌ただしさを極めている。

政治圧力に屈したFRB

 その象徴的な動きが、3月3日の米連邦準備制度理事会(FRB)による緊急利下げだった。定例の米連邦公開市場委員会(FOMC)を2週間後に控えたFRBは急きょ、臨時会合を開催、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0・5%切り下げた。1回0・25%換算で7枚(1・75%)の利下げカードがあったところ、一気に2枚を出してしまった。

 しかし、この政策対応は不要不急としか思えないものだった。利下げで未知の疫病を治癒も根絶もできず、サプライチェーン(供給網)の寸断も復元できない以上、中央銀行(金融政策)に期待された役割は「時間稼ぎ」以外の何ものでもない。にもかかわらず、臨時会合まで開催して2枚のカードを使ってしまったことは正直、割に合わない。これから稼がなければならない「時間」を、なぜ焦って捨てたのか。政治的圧力に配慮した可能性…

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