週刊エコノミスト Online 歴史でわかる経済危機

原油市場 長期停滞期入りを象徴する“異常”なマイナス価格=岩間剛一

(出所)ブルームバーグより編集部作成
(出所)ブルームバーグより編集部作成

 WTI(米国産標準油種)原油先物価格が4月20日、1バレル=マイナス37.63ドルとマイナス価格を付けた(図1)。1983年にWTI原油先物市場がニューヨークに創設されてから初の異常な取引である。ただ、歴史を振り返れば、原油市場はその特性ゆえに価格高騰期と停滞期を繰り返してきた。初のマイナス価格は長期的な価格停滞期入りを象徴する出来事といえよう。

 マイナス価格が実現したのは、二つの特殊な要因がある。第一に新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、世界の石油需要が瞬間的に蒸発しているにもかかわらず、OPEC(石油輸出国機構)の盟主サウジアラビアが4月以降、日量1230万バレルへの増産にかじを切ったこと。それに先立ち、ロシアなど非OPEC加盟国による協調減産が決裂していた。

残り1148文字(全文1486文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事