国際・政治 大予想 米大統領選

米中 対立と相互依存の「冷和」時代 非常時の民主主義の構築を=呉軍華

対立は経済から教育・文化交流の分野にまで広がっている(トランプ米大統領〈右〉と習近平中国国家主席)(Bloomberg)
対立は経済から教育・文化交流の分野にまで広がっている(トランプ米大統領〈右〉と習近平中国国家主席)(Bloomberg)

「新冷戦」や「冷戦2・0」といった言葉が論壇をにぎわせている。改めて強調するまでもないが、米国と旧ソ連の間で展開された冷戦になぞらえて悪化の一途をたどる米中関係を描こうとする論調である。

冷戦よりも「冷和」

 つい最近まで、米中あつれきの激化、なかでも米国の対中政策の強硬化の原因をポピュリズムに迎合し、貿易の不均衡を執拗(しつよう)に問題視するトランプ大統領の個人的要素に追い求める声が大きかった。これに比して、新冷戦や冷戦2・0で盛り上がった論調は、米中関係の価値観・制度的競争の側面に注目しているために、米中対立の本質に、より迫るアプローチと評価してよかろう。

 しかしそのまま、米中関係の現状を冷戦と定義するのはうなずけない。政治や軍事といった分野での米中対立が冷戦時代の米ソ対立並み、ひいてはそれ以上根深い構造を抱えていながらも、米中間で経済を中心に相互依存の「和」がなお根強く存続している。こうした実態を踏まえて、冷戦よりも「冷和」が米中関係の本質をより的確にとらえるコンセプトだと、筆者は考える。

残り1823文字(全文2275文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事