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映画 BLUE/ブルー ボクシングに精通した監督が描く 三者三様の人間ドラマ=寺脇研

 ボクシングは、スポーツを扱う映画の中で最も有力なジャンルである。肉体の力のみで闘う個人競技だからヒーローが引き立つし、派手な展開にも事欠かない。当然、日本映画にも幾多の名作がある。

 福田健吾の「ウェルター」(1987年、村上修監督)、赤井英和の「どついたるねん」(89年、阪本順治)、大和武士の「鉄拳」(90年、阪本順治)と元プロボクサー主演もあれば、清水健太郎の「ボクサー」(77年、寺山修司)、安藤政信の「キッズ・リターン」(96年、北野武)、徳山秀典の「タナトス」(2011年、城定秀夫)、安藤サクラ(!)の「百円の恋」(14年、武正晴)と、俳優たちがみごとにボクサーを演じ切ったものもある。

 この「BLUE/ブルー」で役に挑むのは、松山ケンイチと東出昌大。いずれも精悍(せいかん)な姿で、冒頭からリングへ向かう雰囲気を醸し出す。ところが、次の場面には柄本時生演じるゲームセンターのしがない店員が登場し、同僚女性の手前仕方なく喫煙を注意した中学生からボコボコにされてしまうのだ。

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