週刊エコノミスト Online いま学ぶ!渋沢資本主義

「近代化の父」が韓国に残した禍根=片桐庸夫/9

韓国で発行された第一銀行券(旧1円券、明治35年式)には頭取である渋沢の顔があった 日本銀行貨幣博物館所蔵
韓国で発行された第一銀行券(旧1円券、明治35年式)には頭取である渋沢の顔があった 日本銀行貨幣博物館所蔵

 日本の財務省が2019年に渋沢栄一を新1万円札の顔とすると発表した時、朝鮮半島で批判の声が上がった。

 渋沢が創設し、頭取を務めた「第一銀行」が1902(明治35)年に日本円との兌換(だかん)券を、韓国(1897年に高宗が国号を「大韓帝国」に改称する以前を「朝鮮」、以後を「韓国」と呼ぶ)で発行し、そこに渋沢の顔を採用したことから、韓国では渋沢が長く「反日のシンボル」と位置付けられていたからだ。

 当時の渋沢は、そのような事態を夢にも思わなかっただろう。第一銀行が発行するから、そのトップの顔を用いるという成り行きに従ったに過ぎず、こだわりはなかったと考えられる。

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