資源・エネルギー 脱炭素の落とし穴

炭素排出量は本当に減る? 「カーボンプライシング」のワナ=小野徹

ボスニア・ヘルツェゴビナにあるアルセロール・ターミナルの製鉄所。欧州を中心に世界各地に生産拠点を持つ (Bloomberg)
ボスニア・ヘルツェゴビナにあるアルセロール・ターミナルの製鉄所。欧州を中心に世界各地に生産拠点を持つ (Bloomberg)

炭素に値付け 削減効果は薄く空洞化も招く 「カーボンプライシング」のワナ=小野透

 最近、炭素の排出量に値付けをする「カーボンプライシング」(CP)という言葉を耳にする機会が増えた。菅義偉首相が昨年10月、2050年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル(炭素中立)」を表明し、CPをその有効な手段として取り上げる論調が目立つ。

 政府内での議論も加速している。小泉進次郎環境相の昨年12月31日のブログによると、菅首相は小泉氏と梶山弘志経済産業相を同12月21日に呼び、環境・経産両省が連携してCPの議論を進めるように指示したという。また、6月18日に閣議決定した成長戦略でも、CPについて「産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながるよう、成長に資するものについて躊躇(ちゅうちょ)なく取り組む」と盛り込まれた。

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