資源・エネルギー 鎌田浩毅の役に立つ地学

用途の広い石灰石 資源小国・日本でも自給可能/62

「資源に乏しい」と言われる日本で、唯一といっていいほど自給が可能な鉱物資源がある。それが石灰石である。石灰石はセメント、コンクリート、鉄鋼などさまざまな素材の原料として膨大な量が使われている。日本の埋蔵量は極めて豊富で、枯渇する心配はほとんどない。

 中学校の理科の授業で、石灰石に塩酸を加えると気体の二酸化炭素がブクブクと出る実験を覚えている人も多いだろう。石灰石は炭酸カルシウム(CaCO3)からなり、地学では「石灰岩」と呼ばれる岩石の通称である。一般的には資源として扱う時や商品名として「石灰石」が用いられ、石灰岩を利用可能な大きさに砕いたものも石灰石と呼ばれてきた。

 石灰岩はもともと海中で形成された堆積(たいせき)岩である。炭酸カルシウムを多く含む石灰岩は白い色を示すが、鉄やアルミニウムなどの不純物が加わると灰色や茶色になる。石灰岩を構成する鉱物は方解石(ほうかいせき)と霰石(あられいし)だが、異なる結晶構造を持っている。

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