法務・税務 税務調査

国税が例外規定を持ち出して、タワマン節税に歯止めをかける=村田晋一郎

タワマン 過剰な節税は狙われる 国税が仕掛ける一罰百戒=村田晋一郎

 国税庁はタワーマンションを使った過剰な節税には、厳しい姿勢で臨もうとしている。

 本誌2019年12月10日号で取り上げた、路線価による評価ではなく不動産鑑定による評価に基づく課税を争った裁判で、19年8月の東京地裁に続き、20年6月の東京高裁でも国税側が勝訴した。(表の拡大はこちら)

 この裁判の事例で、被相続人は亡くなる3年前に東京都杉並区のマンションを約8億3700万円で、川崎市のマンションを約5億5000万円で購入した。そして相続人は相続時に路線価に基づき、杉並区のマンションを約2億円、川崎市のマンションを約1億3400万円と評価。被相続人はマンション購入費用に銀行から約10億円を借り入れていたことから、相続人は相続税を0円で申告した。これに対して、国税側は不動産鑑定により杉並区のマンションを約7億5400万円、川崎市のマンションを約5億1900万円と評価し、相続人に約3億円の追徴課税を行った。相続人はこれを不服として裁判になった。

 相続税の評価は、通常は路線価を基にしている。国税庁の財産評価基本通達においても、財産の価格は時価によるものとされ、その評価基準として路線価が定められている。ただし、基本通達の第6項に…

残り715文字(全文1265文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事