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FOMCメンバー 8人の中でタカ派優位に 明確なハト派は1人のみ=井上哲也

 金融市場では、2022年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つメンバーの構成が、顕著にタカ派寄りになったとの見方が多い。FOMCは米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長ら7人の理事と、輪番で毎年交代する地区ごとの連邦準備銀行総裁5人の計12人が投票権を持ち、多数決で金融政策を決定する。その顔触れは今後の金融政策に大きく影響する。

 22年のFOMCに参加する地区連銀総裁は、ハト派とみられたシカゴ連銀のエバンズ総裁やサンフランシスコ連銀のデイリー総裁が退出し、かねてタカ派とされるメスター(クリーブランド連銀)、ブラード(セントルイス連銀)、ジョージ(カンザスシティー連銀)の各総裁が加わった。また、投票権を得るはずのボストン連銀総裁が空席のため、同じ輪番グループに属するフィラデルフィア連銀のハーカー総裁というタカ派が暫定的に投票権を得ている。

 常に投票権を持つFRB理事は、ハト派とされたクラリダ氏が退任したことで、定員7人のうち4人のみの在籍となっており、地区連銀総裁(常に投票権を持つニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁を含む5人)に、タカ派とされるウォラー理事(セントルイス連銀出身)も加えると、現在正式に投票権を持つ8人の中ではタカ派の数的優位が目立っている。

 もともと、FRB理事およびニューヨーク連銀総裁は、政治や金融市場に近い立場にあるだけに、政策運営に関しても政策効果と副作用のバランスに配慮したスタンスを取る傾向がある。一方、地区連銀総裁の多くは、より純粋に政策目的の実現を重視する結果、タカ派バイアス(偏り)がかかりやすい面がある。

地域経済で過熱顕著に

 しかし…

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