経済・企業 戦時日本経済  

《戦時日本経済》バフェット 銘柄ではなく、ビジネスで選べ=松田遼

「(バークシャーの)株主は、同社を通じて多くの事業を所有している」と、バフェット Bloomberg
「(バークシャーの)株主は、同社を通じて多くの事業を所有している」と、バフェット Bloomberg

バフェット 「銘柄ではなく、ビジネスを選べ」=松田遼

 米国の金利引き上げにウクライナ危機と、国際金融市場を取り巻く環境は混迷を深めている。そういう現状でこそ、株式投資家は「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットに学ぶべきであろう。一言で言えば、株式投資では「銘柄でなくビジネスを選べ」であろう。

 バフェットは最近の自身が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの年次報告書で、「株主への手紙」の冒頭部に、自社の株主を「経営者(マネジャー)とみなして」会社の業績を報告する責務があると説明している。この姿勢は、バフェット自身が他社に投資する際の姿勢を表しているといえるだろう。

 バフェットは株式投資を金融商品というよりは、事業投資に近い見方をしている。つまり、株式を発行している企業自体のビジネスとその経営者に着目し、投資判断をしているのだ。このことを自社の株主に置き換えて、「(バークシャーの)株主は、同社を通じて多くの事業を所有している」と、バフェットは表現していることからも明らかだ。

 バフェットは、基本的に長期保有を前提として株式投資を行っている。彼にとって株式投資は、マネーゲームとして短期売買から利益を得るものではなく、投資対象の企業経営者としての立場で、その企業・事業をどう運営するかという長期的な視点に立ち事業の潜在力を評価し、投資判断をしているように思われる。

 また、バフェットは、バークシャーが米国を拠点とする企業であるおかげで、現在の同社の栄華を築き上げることができたことをうたっている。米国は成熟した世界最大の経済大国でありながら、近年でも他の先進国と比較して高い経済成長を維持。この恩恵を受けているからこそ、バークシャーは現在の地位を築き上げることができたというわけだ。だが、これはバフェットの謙遜かもしれない。すべての米国企業がバークシャーのように成功しているわけではな…

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