経済・企業 鉄道150年 復活の条件

鉄道主要17銘柄診断=姫野良太/編集部

 2年間に及ぶコロナ禍をへて鉄道株はどう動いたか。専門家が分析した。

近鉄、京阪、西武は堅調 伸び悩むJR、小田急=姫野良太/編集部

 主要鉄道会社の株価の推移を見ると、JRよりも私鉄のほうが今年に入ってからの回復傾向が強い。8月4日時点でのJR4社と大手私鉄13社の年初来騰落率を上位から並べると、トップは近鉄グループホールディングス(HD)の39・19%で、以下、京阪HD、西武HD、京浜急行、南海電鉄、名古屋鉄道と続く。20%超えはいずれも私鉄で、JRではJR九州が15・43%となっている。

 JRと私鉄の差異が浮き彫りになったが、その要因について、JPモルガン証券シニアアナリストの姫野良太氏は「大きく三つある」と指摘する。一つ目は、資産売却によるアセットライトを進めるなどの構造改革は大きな評価材料になる。近鉄グループHDや西武HDはホテルの資産を売却している。二つ目は、世界規模の景気減速懸念がある中で、景気に左右されにくい事業を持つ企業が物色されている。具体的には不動産事業の構成比が高い私鉄が評価されている。

 三つ目が運賃改定だ。東急は既に運賃の値上げを申請し認可されており、近鉄も申請を行っている。他の私鉄も申請はしていないが、検討の方向性を示している会社があり、運賃改定の動きは評価材料になっている。逆にJRの動きは遅れている。

 大手私鉄IR担当者によると、海外投資家の注目が高いのは…

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