マーケット・金融 グラフの声を聞く

債券含み損で身動き取れない米銀 市岡繁男

 米連邦預金保険公社(FDIC)によると、米銀は債券ポートフォリオに6900億ドル(約90兆円)の含み損を抱えている(図1)。これは自己資本の32%に相当する莫大(ばくだい)な金額で、その割合は2008年のリーマン・ショック時でも約5%に過ぎなかった。損失は途中売却しない限り表面化しないとはいえ、総資産(23兆ドル)の4分の1を占める債券残高(約6兆ドル)は、償還期限まであと何年も資金が固定してしまう。

 今の金利上昇局面は銀行にとって絶好の収益機会となるはずだが、債券に振り向けた資金を貸し出しに回せないこともあって、マネーストックM2は急激に低下し、昨年11月は前年比微減となった(図2)。これは過去の日本の事例が示す通り、先行きの波乱を予感させるものだ。

残り280文字(全文611文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事