経済・企業 THE MARKET

《東京市場》半導体など中国関連が物色の柱 秋野充成

 注目された1月の日銀金融政策決定会合では、焦点だったイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の再修正は出なかった。さらに、共通担保オペ拡充策を発表して、10年物OIS金利(翌日物金利と10年長期金利を交換する際の金利)や日本国債金利が低下した。

 しかし、10年物OIS金利は10年国債金利許容上限(0.50%)に比べ0.24ポイント高い水準であり、市場にはYCCの再修正と撤廃の観測は消え去っていない。ヘッジファンドなど市場関係者は依然として戦闘態勢だが、総裁候補指名や春闘などを経てこうした思惑はしぼみ、長短ともに金利は低下方向と思われる。

 今回の決定会合の最大のポイントは、「展望リポート」の2023年度物価見通しだ。昨年10月の同リポートにおける23年度の生鮮食品除く消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しは1.6%だが、今回は2%を超えるとの観測が浮上していた。マイナス金利導入とYCC設定の理由が、CPI2%達成のためだからである。2%目標達成を展望してしまうと、マイナス金利を解除して、YCCを撤廃しなければならない。

残り437文字(全文909文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事