経済・企業 国産ジェット

【全文掲載】スペースジェット撤退で泉沢清次・三菱重工業社長が記者会見で話したこと/3(Online編集部)

 三菱航空機が開発を続けていた日本初の国産ジェット旅客機「スペースジェット」(旧MRJ)。親会社三菱重工業の泉沢清次社長は2月7日、開発からの撤退を表明した。エコノミストOnlineでは、同日の記者会見の全文をお届けする。3回目の最終回は記者との質疑応答の後半部分を掲載する。

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経験を持ったエンジニアがいなかった

── 民間機の開発を続けるリソースが足りなかったということだが、国に支援を要請したり、他の航空機メーカーに協業を申し出るなど、どのような解決策を考えていたのか。

泉沢 大きく二つの視点がある。 初期の段階で開発の規模の見積もり、手間のかかり方ということが、正直言って少し甘かったのではないか。そこの段階でのリソースの確保が足りなかったのではないかというのが一点ある。

 もう一つは、単に頭数が足りないということではなくて、経験を持ったエンジニアが我々にいなかった。おそらく日本の中にいなかった。それで海外の経験のあるエンジニアを投入したということ。

 その意味で、足りないリソースについて、いろいろと手は尽くしてきたと思うが、それは十分ではなかった。

── アフターマーケットとCRJ事業(買収したカナダ・ボンバルディアの小型機事業)については、今後どのような形でやっていくのか。

泉沢 アフターマーケットの拡大は、いまCRJの事業は約1200機程度が運航されていて、そのサービスを請け負っています。ただすべて請け負っているわけではなく、MHIRJ(ボンバルディアからCR事業を買収したことで立ち上げた新会社)が実行していない部分もあります。そういったものを広げていきます。さらに修理の規模を広げていきます。あるいは他社製の飛行機の整備についても検討していきます。

 整備のハンガーはありますので、あとは技術を蓄積すればできる部分もある。そういったところを狙ってい…

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