国際・政治 闘論席

今は「まさか」が「当然」になりうる時勢 古賀茂明

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

古賀茂明の闘論席

「徴兵制が始まる!」と聞いても、「そんなことあるはずない」と思う人がほとんどだろう。

 しかし、思い返してほしい。今から15年前には誰も考えなかったこと、口にもできなかったことが次々に実現し、あるいは当然のこととして語られるようになった。

 例えば、戦後一貫して違憲だといわれてきた集団的自衛権は政府解釈の変更で合憲となった。憲法と同じくらい大切にされてきた武器輸出三原則も廃止され、紛争当事国への武器供与に道が開かれた。今や殺傷能力のある武器の輸出も認められそうな勢いだ。

 敵基地攻撃能力も違憲だといわれていたのに、すでに長射程ミサイルの開発が進んでいる。軍事より国民生活という国の形を表す象徴だった防衛費のGDP(国内総生産)1%の枠もなくなり、2%を目指すことになり、今や国有武器工場を作る法律までできてしまった。口にするのがタブーであった「台湾有事」も、その際に米軍が日本の基地から出撃することも当然のことのように語られる。

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