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物価高騰と戦うトルコの庶民 中島敏博

イスタンブールのバザール 筆者撮影
イスタンブールのバザール 筆者撮影

 イスタンブールで生活していて今、一番の問題は、物価だ。トルコの消費者物価は2017年から毎年2ケタの上昇が続いており、22年は64%まで上昇した。

 政府は諸悪の根源は高金利にあるとして、19年後半から利下げを軸とした金融政策を行ってきた。トルコ・リラは17年に1ドル=3.7リラだったものが年を追って減価し、今では1ドル=27リラ。リラ安で輸出が増えたといわれるが、輸入物価の上昇がインフレ率を押し上げ国民生活を圧迫した。

 イスタンブールの青空市場(バザール)でも、生鮮野菜や果物の価格は体感だと1年間で3倍にはなっている。家庭用品や住宅の価格も上昇しており、ホームレスの数も増えているように見える。にもかかわらず、トルコのGDP(国内総生産)は個人消費をけん引力に22年は5.5%の高成長を遂げた。したたかなトルコ人は、お金を金や高級車などモノに変えて防衛しているのだ。驚くべき柔軟性だ。

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