週刊エコノミスト Online 編集後記

浜田健太郎/和田肇

編集部から

「新聞は軍部に協力して戦争をあおった」。父は幼い私にそう話した。その後、新聞記者を志望するようになっても、父の言葉は気になった。

 本誌3月12日号で元外交官の東郷和彦氏は「ウクライナ戦争を誘発した責任は米国にある」と指摘した。私も同感だ。2014年2月、ウクライナで親露派の大統領が倒れた「マイダン騒乱」がなければ、戦争は起きなかった。その首謀者とされるヌーランド米国務次官は3月、辞任意向を表明したが、日本のメディアはこの重要なニュースをほとんど報じていない。

「ロシアが悪い」で凝り固まった日本のメディアは、対中国のネガティブな報道にも熱心だ。「歴史は同じようには繰り返さないが韻を踏む」(米作家マーク・トゥエイン)。メディアが大衆を扇動し、日本を再び戦争に向かわせることに躊躇(ちゅうちょ)しなくなったと感じる。暗たんたる気分だ。

(浜田健太郎)

「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎……」は、映画「男はつらいよ」(松竹)の有名なセリフだ。故渥美清さん演じる寅次郎は、全国各地の縁日や祭り会場を巡っては、そこでさまざまな商品を売る、いわゆる露天商をなりわいとしている。

 露天商たちは、冒頭のような流れる口調で、集まってきた客に商品を買ってもらうよう、“口八丁”でアピールする。早口の落語のようなイメージと言ったら分かるだろうか。その見事さは芸の域に達しているという。こうした露天商たちの売り方は、啖(たん)呵売(かばい)といわれる。今はもうほとんど見られなくなった。経済活動にも“芸”の要素を入れ込む。昔の人はなんとも粋ではないか。松竹メディア事業部の岡﨑匡さんによると、意外なことに、最近、若者の間で映画「男はつらいよ」の人気が出ているという。

(和田肇)

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