教養・歴史書評 読書日記

高部知子の読書日記 あまたの死後の世界を生み出した人間の不思議

×月×日

 小さい頃から不思議だった。人は死んだらどうなるのだろう? いやだなぁ、死ななきゃいけないのに生まれてきちゃって。そもそも人って何なんだ? ずっとこんなことに興味があった。以前、『脳は利他的にふるまいたがる』(村井俊哉著、PHP研究所、1300円))という本を読んだ時に「死後の世界まで意識を延長させられるのは人間特有の能力」と書かれていたが、なるほど、その延長意識によって生まれた観念や文化は、社会の至る所に存在している。

『人は「死後の世界」をどう考えてきたか』(中村圭志著、KADOKAWA、1800円)は、キリスト教以前の『死者の書』から始まり、『旧・新約聖書』、日本からは『古事記』、仏教からは『スッタニパータ』『往生要集』、文学からは『神曲』『遠野物語』『ムーミン谷の冬』まで、さまざまな分野から「来世観」を読みとく試みとなっている。

残り961文字(全文1337文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事