教養・歴史書評 読書日記

高部知子の読書日記 裸じゃなかった! 温泉に見る新鮮な文化史

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 最近、こんな切り口から日本史を考えるのもアリかも!という本に出会った。『温泉の日本史』(石川理夫、中公新書、880円)。普段見かけないような難しい漢字の文献や土地名が随所に出てくるが、それは「ここの温泉は、何某(なにがし)という文献のどこそこに、このように書かれている」という根拠とともに記載されているからで、この著者はどれだけ古書を調べてきたのだろうかと、まず驚いてしまう。

 本編は記録として読める『記紀』から始まるのだが、まず「三古湯」として道後、有馬、白浜温泉が挙げられている。なかでも最も古いのが、やはり『古事記』に出てくる道後温泉らしい。著者によると道後は天皇の流刑先であったようだ。

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