教養・歴史 特集

「独特の『雑味』が人間の内面を表現する」 対談 梅津時比古・桐朋学園大学学長×片山杜秀・慶応義塾大学教授 ストラディバリウスの世界 

 クラシック音楽界きっての評論家が名器を語った。

(司会=藤枝克治・編集部/構成=花谷美枝・編集部)

「ストラディバリウスの規範だけに縛られるべきではない」

── ストラディバリウスは他のバイオリンと何が違うのか。

梅津 値上がりはいわば投機などの経済現象で、価格が適正かという問題はあるが、楽器としては他に類を見ないものであることは確かだ。軽自動車とF1くらいの違いがある。

 2000人収容の大ホールでオーケストラと共演する時、30万円程度のバイオリンでは確実に音が消えてしまう。しかし、力のある演奏者がストラディバリウスで弾けば、オーケストラのトゥッティ(全員での合奏)があっても、そこからソリストの音だけが抜き出てきて、ホールの隅々まで真っすぐ豊かに響く。それは圧倒的なものだ。

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