法務・税務 税務調査が狙っている

「金融資産」が狙われる 相続税・贈与税 基礎控除引き下げの影響大=板倉京

相続人の名義の預金も調べられる
相続人の名義の預金も調べられる

「妻や子、孫に贈与したことは、税務署にばれたりしないよね」──。年110万円を超える贈与には申告・納税が必要だが、無申告でもばれないだろうと考える人からこんな質問を受けることがある。しかし、税務署の調査能力を侮ってはいけない。そして、無申告の贈与は多くが相続税の調査の際に判明する。

 国税庁は「国税総合管理(KSK)システム」と呼ばれるシステムで、全国の納税者の情報を管理している。多額の給料をもらっていた人、事業で稼いだ人、相続で財産を受けた人などを把握しているのである。そして、その人が亡くなればこのくらいの相続財産があるのではないかと想定し、それに満たない申告があれば、申告漏れの財産があるのではないか、生前に多額の贈与などをしているのではないかと調べにくるのである。

 国税庁によると、2016事務年度(16年7月~17年6月)の相続税の実地調査の件数は1万2116件。このうち申告漏れなどを指摘されたのは9930件。税務調査に入られると、8割以上は申告漏れが指摘されるというわけだ。この年の申告漏れ財産の金額の内訳をみると、「現金・預貯金」が最も多く、有価証券と続き、金融資産で約半分を占める(図)。

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