週刊エコノミスト Online 世界経済総予測2019

エコノミストが選ぶ注目の3テーマ 愛宕伸康 岡三証券グローバル金融調査部チーフ…

愛宕伸康 岡三証券グローバル金融調査部チーフエコノミスト
愛宕伸康 岡三証券グローバル金融調査部チーフエコノミスト

(1)米国の長短金利の逆転

(2)PMIのグローバルな循環

(3)円とポンドの動向

 2019年は世界経済を牽引(けんいん)する米国の景気後退入りを巡ってこれまで以上に一喜一憂することになりそうだ。米国では長短金利の逆転が景気後退の予兆とされるが、19年は10年金利とFFレート(政策金利)や3カ月物金利といった短期金利が過去10年間で最も近接する。市場で次の景気後退を織り込む動きが広がる可能性もある。

 特に注目されるのが購買担当者景気指数(PMI)の動きだ。製造業PMIを各国・地域で比べると、連動しながら3年周期の循環を描いている。

 連動するのは貿易があるからで、循環するのはITサイクルや在庫循環が影響するからだ。現在は16年初から19年初にかけての循環の終盤に当たり、短期的には最も厳しい局面にある。

 しかし、これまでの循環パターンに従えば、19年初に底を打ち再び拡大局面に移行していく可能性がある。そうなれば米国を含む世界景気の拡大はまだ3年続くというシナリオも成立する。いずれにせよ世界景気にとっては19年1~3月が正念場だ。

 19年は為替動向からも目が離せない。米国経済の減速を受けて、FRBは、早ければ19年前半に15年12月から続けてきた利上げを停止する可能性がある。それに伴い日米金利差縮小への連想から円高に振れやすくなるだろう。英国のEU離脱では、経済に最も打撃が大きい「合意なき離脱」や政局混迷になれば、ポンドが大きく売られる展開も予想される。

(愛宕伸康・岡三証券グローバル金融調査部チーフエコノミスト)

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