週刊エコノミスト Online 独眼経眼

景気後退の回避策がバブルの芽に=渡辺浩志

図1 過去のバブル期のような過剰債務はない
図1 過去のバブル期のような過剰債務はない

 昨年末以降、米国の株価が軟調だ。急落の局面では、市場参加者から「バブル崩壊の始まり」あるいは「景気後退の予兆」との声も上がり、市場は悲観一色となった。

 昨年、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は講演で、過去2回の景気後退はバブル崩壊によって深刻化したと述べた。過去2回のバブルとは2000年ごろの株式バブルと06年ごろの住宅バブルを指す。当時は低金利を背景に、家計・企業が過剰債務を膨張させ、株式・住宅市場では資産価値の過大評価がみられた。

 しかし、現在の米国では、家計・企業の債務返済負担を表すデット・サービス・レシオは極めて低く、過剰債務はみられない(図1)。また、株価の過熱感を測るPER(株価収益率)は景況感と比べて下振れしているほか、住宅価格の上昇率は需給を表す在庫率と連動しているなど、資産価値の過大評価もみられない。現在の米国にはバブルの要素はなく、それゆえバブル崩壊による深刻な景気後退を心配する必要もない。昨今の株安は、景…

残り670文字(全文1096文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事