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地方の医師不足を解消するには=森田朗

 医学部の人気は衰えないにもかかわらず、人口減少が続くわが国の地方では相変わらず医師不足が続いている。住宅付きで年俸数千万円という高待遇を提示しても、医師が来てくれず、医療崩壊が懸念される地域もあるという。

 地方における医師不足はかねてより課題であり、そのため、政府は、2007年からそれまで抑制していた医学部定員の拡大を認めた。拡大が認められたのは、主として資格取得後、地方で一定期間働くことを条件として入学させる地域枠である。

 地域枠を設けた結果、医学部定員は9500人ほどとなり、最近は、毎年約8000人医師が増えている。だが、昨年わが国で生まれた子供は92万人を切った。18年後には、100人に1人以上が医学部に進学できるようになる。今後急速に人口減少が進むことが確実なときに、そんなに医師を養成する必要はあるまい、という判断から全国的な定員は再び抑制する方向に向かっている。

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