教養・歴史 鎌田浩毅の役に立つ地学

45億年前に誕生した月 地球から飛び出した破片が集合/24 

 月は今から45億年前に地球から飛び出して誕生した。地球は太陽系初期の46億年前に誕生したので、わずか1億年後の事件である。現在の火星ほどの巨大な天体が地球に衝突し、そのエネルギーによって地球の表面は非常に高温となり、破片が四方八方へ飛び散った(図)。

 宇宙に飛び出した最大の破片が、地球の引力によって周囲を回り始める。これらの破片が集まってできた最大の物質が月なのである。こうした成因は「ジャイアントインパクト説」と呼ばれ、1984年に提唱された。その後、破片が集積して月を形成するシミュレーションが行われ、1カ月から1年後に現在の姿で月が地球を周回できることが分かった。また地球が衝突後に現在とほぼ同じ大きさになったことも確認された。

 月は同じ面だけを地球に向けながら回っている。月も地球も自転しているが、勝手に回ってもよさそうなものなのに正確にシンクロしている。すなわち、月が自転する周期と、月が地球を1周する周期がまったく同じなのである。

残り814文字(全文1237文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月28日号

バイオ製薬最前線 肥満 がん 認知症第1部 創薬テーマ編肥満14 画期的な減量効果の治療 ノボ、リリー2強が世界席巻■中桐成美/中西拓司17 内臓脂肪減少薬 大正製薬が「アライ」発売 吸収抑えて25%を排せつ■中西拓司19 米国の現実 成人の「4割超」の深刻 国防にも影響するレベル■岩田太郎20 体 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事