教養・歴史 書評

フーコー没後三十余年 「性の歴史」ついに完結=本村凌二

「あなたは人間ですか、それとも男(あるいは女)ですか」と問われたとしよう。どちらを強く意識しているかとなると、私なら後者と答えるかもしれない。そうであれば、じつのところ、性愛を語ることはその社会の深層にふれることにもなる。

 20世紀の巨星ミシェル・フーコーもその問題群にぶつかり、『性の歴史』全4巻(新潮社、第Ⅰ巻3080円、第Ⅱ巻・第Ⅲ巻各3850円、第Ⅳ巻4730円)を書きあげた。

 第Ⅰ巻『知への意志』では、性の真実を知ろうとすることがなぜ西洋近代でおこったのかが問われた。そこには性の抑圧・禁止よりも、性を言説化しようとする社会全体の要求が潜んでいたという。だが、この原著が1976年に出版されながら、企画は大きく変更されてしまう。

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