教養・歴史 書評

有用性超えた「エコノミー」 バタイユ思想を読む=本村凌二

 戦後を代表する経済学者である宇野弘蔵先生は若い頃、東北大学に勤めていた。同僚のドイツ人の哲学者と散歩していたとき、彼から「結局、経済学とは最小限の努力で最大限の利益をあげようとする学問だろう」と言われた。これに対して、先生は「結局、哲学とは最大限の努力で最小限の利益をあげる学問ではないか」と反論されたという。

 この笑い話には、佐々木雄大『バタイユ』(講談社、2750円)が凝縮されているかのようだ。副題に「エコノミーと贈与」とあるように、20世紀フランスの文学者・思想家であるバタイユの活動には、「エコノミー」を主題とする作品群がある。

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