教養・歴史 今週の本棚・話題の本 『現代語訳 暗黒日記』 清沢洌著、丹羽宇一郎編集・解説 東洋経済新報社 2200円 2022年1月14日 『現代語訳 暗黒日記』 清沢洌著、丹羽宇一郎編集・解説 東洋経済新報社 2200円 戦時下に雑誌への執筆を禁じられていた外交評論家が後世のため記した。1942年12月に始まり、45年5月、病死する直前に終わる。配給の乏しさや近しい人の徴兵、空襲警報といった身辺記録と時事批評が織り交ざる。清沢が嘆くのは、軍人主導で責任不在の統治体制はもとより、戦況悪化を伝えず戦意高揚に熱心な報道であり、それを疑いもせず戦争を賛美する国民性だ。編集・解説した丹羽宇一郎氏は「驚くほど現代と似ている」と危惧する。(A) 前の記事 『女性の死に方』=壇蜜 次の記事 『僕は失くした恋しか歌えない』=手塚マキ 文字サイズ 小中大 印刷