週刊エコノミスト Online 不動産コンサル長嶋修の一棟両断

「割高だがバブルではない」東京の不動産にマネーが流入したら……=長嶋修

「割高だがバブルではない」東京/124

 都心・都市部の住宅市場が好調だ。

 その理由として「新型コロナウイルスで在宅時間が増えたことによる住まいの見直し」「共働き夫婦のパワーカップルが市場を支えている」「建設業界の人手不足や建築資材や土地の値上がり」といった項目が挙げられる。何といっても圧倒的な低金利が利いていることだ。

 米国の住宅市場も、同じ理由で絶好調だ。直近の2021年10月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数(主要20都市)は、前年同月比18・4%上昇した。

 ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は高インフレを抑制する観点から今後2~3年で政策金利を引き上げる見込みである。

 一方、日本はまだ金融緩和の縮小や金利上げといった議論が出るほどインフレを意識する局面にはない。

世界の大都市で10位

「UBSグローバル不動産バブル指数」によれば、21年の東京のバブル指数は1・46と世界の大都市の中では10位(図)。「割高ではあるものの、バブルではない」といった認定だ。

 日米欧の中央銀行のバランスシートはリーマン・ショック(08年)前に400兆円に満たなかったところ、現在はおよそ2000兆円に増加している。

 世界を見渡せば、東京は先進国の中でインフレ懸念もなく、したがって低金利で資金調達が可能で、新型コロナウイルス禍の影響も相対的に小さい。そうした割安感がある大都市へグローバルマネーが流入したらどうなるか。これまで不動産市場に流入する海外マネーといえば、中国などアジアが主流だったが、欧米系がその矛先を日本に向けた時、どうなるだろうか。

 なにより現在、ドル・円相場は円安基調だ。こ…

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