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「国際社会は反ロシア」という戦略的レトリック=片山杜秀

撮影 隅 俊之
撮影 隅 俊之

 いささか旧聞に属するが、国連総会で4月7日、ロシアを国連の人権理事会の理事国から外すか否かの採決が行われた。結果は、賛成93、反対24、棄権58、無投票18。賛成多数ではあるが、現在の国連加盟国は193カ国だから、賛成国は全体の半数を下回った。

 話を細かくしよう。例えば、国際通貨基金(IMF)の最新の統計による名目国内総生産(GDP)の上位20カ国で見ると、賛成13、反対2、棄権5。同じく1人当たりGDPの上位19カ国だと、結果はもっと極端だ。賛成17、棄権2、反対は0。現今の世界秩序の中で豊かさを享受する国々の多くは、ロシアのウクライナでの仕方を決して認めぬということだろう。

 すると国連人口基金の最新統計による人口上位20カ国では? 様子はだいぶ変わる。賛成5、反対6、棄権9。反対国は、ロシア、中国、エチオピア、ベトナム、コンゴ、イラン。総計は約20億人。棄権国は、インド、インドネシア、ブラジル、パキスタン、ナイジェリア、バングラデシュ、メキシコ、エジプト、タイ。合わせて約28億人。両方足すと世界人口の半分以上を占める。

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