教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

視野が狭いといわれます。もっといろいろな捉え方ができる方法は?/175

デイヴィッド・アームストロング(1926~2014年)。オーストラリアの哲学者。形而上学や心の哲学の分野で大きな影響を与えた。著書に『現代普遍論争入門』などがある。(イラスト:いご昭二)
デイヴィッド・アームストロング(1926~2014年)。オーストラリアの哲学者。形而上学や心の哲学の分野で大きな影響を与えた。著書に『現代普遍論争入門』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 視野が狭いといわれます。もっといろいろな捉え方ができる方法は? よく物の見方が狭いと指摘されます。もしかしたら想像力に乏しいのかもしれません。自分ではまじめな性格だと思っているのですが、どうもそれが災いしているようです。どうすればもっといろいろな捉え方ができるようになるでしょうか?(公務員・20代男性)

A「個別者」と「性質」の新たな組み合わせを生み出し、自分の世界観を広げよう

 今はどんな仕事でも想像力が求められる時代ですよね。いろいろな状況が想定できて初めて、危機への対応が可能になりますし、新しいものを生み出すことも可能になりますから。そこで参考にしたいのが、「可能世界」に関する哲学の議論です。

 一般に可能世界論とは、私たちが住むこの現実世界を、無数の可能世界のうちの一つにすぎないと捉えるものです。ただ、これにもいくつかのバージョンがあります。その中で今回私がご紹介するのは、オーストラリアの哲学者デイヴィッド・アームストロングによる組み合わせ説です。

 アームストロングは世界を格子のように捉えています。個別者と性質をおのおの軸としてとった格子です。たとえば、今目の前にある消しゴムは、ゴム製で字を消すことができます。これは消しゴムという個別者と、ゴム製であるとか、字を消せるといった性質との組み合わせとして捉えているということです。

消しゴムで文字を書く

 つまり、あらゆる物事は個別者と…

残り732文字(全文1332文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月28日号

バイオ製薬最前線 肥満 がん 認知症第1部 創薬テーマ編肥満14 画期的な減量効果の治療 ノボ、リリー2強が世界席巻■中桐成美/中西拓司17 内臓脂肪減少薬 大正製薬が「アライ」発売 吸収抑えて25%を排せつ■中西拓司19 米国の現実 成人の「4割超」の深刻 国防にも影響するレベル■岩田太郎20 体 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事