教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

リスキリング研修で仕事時間が減った上、役立つのか不安です/181

プロティノス(205年ごろ〜270年)。古代ローマ支配下のエジプトの哲学者。新プラトン主義の創始者とされる。著書に『エンネアデス』がある。(イラスト:いご昭二)
プロティノス(205年ごろ〜270年)。古代ローマ支配下のエジプトの哲学者。新プラトン主義の創始者とされる。著書に『エンネアデス』がある。(イラスト:いご昭二)

Q リスキリングのための研修が増え仕事時間が減った上、仕事に役立つのか不安です 最近リスキリングブームでやたら研修が増えているのですが、こんなにいろいろ身に付けて本当に仕事に役立つのでしょうか? むしろ仕事をする時間が減って困っているのですが。(会社員・40代男性)

A 自分磨きは彫刻のごとし。完成を目指し削除部分を教えるのが研修です

 DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人工知能)の導入をはじめ、今ビジネスの世界でもさまざまな新しい変化が生じています。そうした変化に対応していくためにも、官民挙げてリスキリングに取り組んでいるわけです。つまり、新しいことを学び、新しいスキルを身に付け実践し、新しい業務や職業に就くことを推奨しているのです。

 ただ、研修が多くなると、その分通常業務に影響が出るのも確かです。そのへんの兼ね合いをどう考えればいいのか。

 そこで参考にしたいのは、エジプトの哲学者プロティノスです。エジプトといっても、3世紀の人なので当時は古代ローマの支配下にありました。

 そのプロティノスがこんな言葉を残しています。「彫刻家が彫像を完成させるように、たえず自分の完成につとめなさい」。つまり、自分を彫刻に見立てて、常に磨いていきなさいということです。面白いのは、その際プロティノスが、彫刻とは自分の余分な部分を削ることだといっている点です。

究極の己=一者を追求

 自分を磨くと…

残り762文字(全文1362文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月28日号

バイオ製薬最前線 肥満 がん 認知症第1部 創薬テーマ編肥満14 画期的な減量効果の治療 ノボ、リリー2強が世界席巻■中桐成美/中西拓司17 内臓脂肪減少薬 大正製薬が「アライ」発売 吸収抑えて25%を排せつ■中西拓司19 米国の現実 成人の「4割超」の深刻 国防にも影響するレベル■岩田太郎20 体 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事