教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

仕事しやすいのでラフな服装で出社すると、冷ややかな視線を浴びます/186 

ミハイル・ミハイロビッチ・バフチン(1895~1975年)。ロシアの哲学者、文芸批評家。対話主義やポリフォニー論で知られる。著書に『ドストエフスキーの詩学』などがある。(イラスト:いご昭二)
ミハイル・ミハイロビッチ・バフチン(1895~1975年)。ロシアの哲学者、文芸批評家。対話主義やポリフォニー論で知られる。著書に『ドストエフスキーの詩学』などがある。(イラスト:いご昭二)

Q 仕事しやすいのでラフな服装で出社すると、冷ややかな視線を浴びます コロナ禍以降、テレワーク(在宅勤務)が増え、楽な服装を好むようになりました。職場では特に決まりはないのですが、周囲はもっとカチッとした格好をしたらと言わんばかりに、けげんな顔をしています。仕事がしやすければそれでいいと思うのですが。(企画職・30代女性)

A 既成概念に縛られないカーニバル性潜む自由な服装で、生産性アップを

 最近は働き方の多様化に伴い、職場における服装の自由度も高まっています。しかし、それでもまだカチッとした格好をするのが、暗黙の了解であるように感じます。“カチッと”というのが何を指すのかは議論があると思いますが、一つ言えるのは体を締め付けるタイトな服装だという点です。

 だからカチッとと表現するのでしょう。ロシアの哲学者ミハイル・バフチンによると、そういう身体のあり方に対する決めつけは、よくないということになります。それは彼が「古典的身体」とも呼ぶ身体を閉じ込める発想にほかなりません。

 これに対してバフチンは、「グロテスクな身体」という問題提起を行いました。これは、彼が唱えるグロテスク・リアリズムという美的概念に基づく身体のあり方で、いわば人間の本来の肉体に素直な、絶えざる生成の状態にある身体だといいます。

身体の自由に合う服装

 身体には凹凸があり、それは人によって異なるどころか、変化もしていくもので…

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