教養・歴史 2023年の一冊 

23年一番の大作 精緻な格差変遷史と大胆な資本主義変革論 諸富徹

『資本とイデオロギー』 トマ・ピケティ著 山形浩生、森本正史訳 みすず書房、6930円

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 重さやページ数(900ページ超!)の物的側面だけでなく、内容面でも今年一番の大作であった。格差の問題にこれほど本気で取り組む経済学者が他にいるだろうか。この問題が、依然として経済学の主要課題であることを改めて認識させてくれる一冊だ。

 著者は、古代から現代に至る歴史を、格差を生み出し、各時代の正統派イデオロギーでそれを正当化するメカニズムの変遷史として描き出す。経済学を超えて、政治、社会、思想、そして歴史にまたがって統合的な知を生み出すその手腕は、相変わらず見事である。

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